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幸福な住まいとは パート1

前回、「本音の家造り」というタイトルで、工法、大工、工務店と、いわゆる家造りのハードな部分を紹介しました。

今回は、ソフトな部分である幸福をもたらす住宅の条件を話したいと思います。
まずそれには、「知る」と言うよりも「認識」しておかなければいけないことがあります。
それは「住宅とは何か」と、「幸福とは何か」です。はっきり言ってそれは、千差万別、十人十色でしょう。
しかし、自分なりのその定義を持たずに家を建てることは、方程式を知らずに数学の問題を解くみたいで、難を極めることだと思います。

これから家を建てる方、どんな家にしようか、どこの工務店にしようかを悩む前に、まず、自分にとっての住宅とは何か、幸福とは何かを考え出して下さい。
それが一番大切で早道だと、私は確信しています。
前置きはこれぐらいにして、ここでは私が勉強してきた「住宅とは」を話したいと思います。

住宅とは何か、不思議なことにこの問いに答えられる業者の方は極めて少ないと言えます。
「住宅は人間が住むだけの機能性をもっていればよい」、と考えている業者や人がほとんどです。
住宅が住む人の運命を左右するなんて考えもしない人達です。
現実に住宅はクレームやトラブルを発生させ、トラブル産業とか、クレーム産業とか言われています。

しかし、それは表面化した製品的な欠陥のことであって、本当に怖いのは、内面に潜む、利用することによって生ずる、精神的な、歪みや歪みだということに気付いていません。
喜びや悲しみや、泣き笑いは人生につきものであって、住宅によるものではないと思っているからです。

これは、住宅が生活環境であり、環境とは、人間、もしくはあらゆる生物の周辺にあって、必ず影響をもたらすものである、という基本的なことを無視しているからだと思います。
自分も最近になって、勉強するようになって気がついたのですが、環境破壊とか、環境改善(町づくりや下関の将来とか)には関心があるはずなのに、もっとも身近な生活環境である、住環境を軽視してきたことに、戸惑いと無念を覚えました。

住宅とは「人間が人間らしい生活を営むために必要な“機能”と“環境”を合わせ持つ建物である。」と言えます。
“機能”とは、外敵や自然の脅威から家族や財産を守るために、堅固で、耐久性を持つ構造物であることや、現代生活を営む上での便利性を持つ条件、それに住む人の趣味に合ったファッション性なのです。

つまり、製品としての価値をさしています。もう一つの“環境”とは、「安らぎの場」「憩いの場」「活力を与えてくれる場」、つまり、住む人が最も強く求める、幸福になるための諸条件が仕組まれた場です。
この環境が、住む人にストレスをつのらせたとすると、半生をかけた住宅としては大きな損害となることでしょう。
住宅は、その日の幸、不幸を一生左右する、といっても過言ではありません。ですから決して、「どうでもよい住宅で結構です」というわけにはいかないのではないでしょうか。住まいを求める目的は、幸福な家庭の永続であることを否定する人はいないと思います。
「あたり前だ、誰が不幸になるために大金を出すか。」と言われると思います。

しかし残念なことに、現実はこの愚かな人が多いのです。
「住宅の役割」を明確にせず、中途半端な知識で、「動機」だけを重くみて、求めている人が実に多いからです。
「家が古くなったから」、「狭くて不自由だから」「子供が大きくなったから」、これはすべて「動機」と「目的」を混同しているのです。
本当の目的は、幸福の条件追究にあることを思い出して下さい。

衝動で求めた住まいは不幸を呼びます。
家を買った(私は、大手プレハブメーカーや、それに準ずる大手地場工務店、又は2×4工法で家を建てた人は、「建てたのではなく、買ったと表現しています」)人に聞いてみると、それは実に様々ですが、大方は、「デザインが気に入ったから」、「システムキッチンがほしいから」、「予算にバッチリ合ったから、」等々でした。

住宅全体にわたるメリット、デメリットを追究せず、将来に対する計画や古くなった時や、メンテナンスの想定もなく、つい、営業マンの熱意にほだされて買ってしまったのです。
肌に触れる生活の場に飽きがきたり、不便、不都合を感じたり、不平、不満が連日のごとく家族間に出てきたりすると、家族の心身両面にストレスが生じます。
このストレスの蓄積が一番のトラブルなのです。

以上まずは、住まいとは、幸福な家庭生活を営むことこそ絶対的な目的であり、同時に、まぎれもない住環境でもある、ということを認識、理解してもらって次回につなぎたいと思います。