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幸福な住まいとは パート3

前回パートⅡでは、住宅を選択するとの注意事項を話しました。
今日は、住宅を建てる時の注意事項を話したいと思います。

大工さん、又は工務店が決まって、いよいよ家を建てていくわけですが、この家づくりにおいて一番大切なこと、一番優先させなければならないこと、それは一体何でしょう。

実はそれは、“間取り”です。「間取りは、住宅づくりの生命であり、その計画の良否によって住む人の運命が左右される。」とさえ言われています。
それなのに、間取り計画を完全に終わらないうちに、外観、又設備等にこだわる人がほとんどです。
いずれも、全く、「住宅の役割」を知らない人たちです。住宅はいかに住みよくつくるかが重要であり、そのためにいかにして幸福になる条件や原因を、住まいの環境の中に仕組むかが、問題になってきます。

間取りの取り方が悪ければ、使い辛いだけでなく、生活費も無駄なお金がかかり、それも一生の間には莫大な金額となります。
そして、単に光熱費だけでなく、ストレス発生にともなう諸病気の治療費、イライラから発生する浪費、子供の非行、不良化による出費等々、住環境を無視したために、明らかに不要な支出を強いられている家庭の例は、実は意外にも多いのです。

間取りの大切さはこれぐらいにして、これからその間取りを考えるうえでの、必要不可欠なキーワードをお話しします。それは、「自然のめぐみ」です。
人間は、“自然の恩恵”によって生かされています。そして、人間は自然の恩恵を享受できれば、快適に生活できるようにも設計されています。

ですから、いかにこの天の恵みをうまく家に取り入れるかが、間取り計画の要になります。
家づくりにおいて、この自然の恵みの代表は何といっても“日当たり”と“風通し”です。優先させるのは意外にも“風通し”の方です。

家の大敵は何といっても湿気であることは御存知でしょう。家が腐りやすくなるのはもちろん、カビ、ダニの原因にもなるからです。
湿気は、空気の停滞によって起こりますから空気の動く所では決して湿気はきません。(床下や屋根裏に換気口をつけるのもこのためです)また夏の夜、風は南東から北西に吹きますから、これを考慮して風をうまく通してやれば、クーラーで体を悪くすることもなく、電気代もいりません。しかも風は、窓の位置とその開閉だけで事がたりるわけですから、いかに最初の計画が、大事かが理解いただけると思います。

次は、“日当たり”ですが、日光の主な役割は、何といっても明るさと殺菌作用です。前者は寝室、子供部屋、居間に、後者は台所に上手な利用の仕方を研究する必要があります。
いずれにしろ、どんな住宅でも、この“自然の恩恵”の取り入れ口は「窓」です。
ですから窓のもつ役割は大きく、有効に利用すればメリットが大きいのですが、反面、つけ方によってはマイナスになることもありますので注意が必要です。

したがって、窓をつける場合、窓の目的を明確にしなければなりません。この窓は採光のためか、通気のためか、冬向きか、夏向きか…・。
一般的には、単純な発想によってつけられているようですが、高温多湿な日本の気候のなかにあっては、窓の果たす役割が重大であることは、ぜひ知っておくべきです。

『金いらぬ 天の恵みは 窓次第』おそまつ。
意外なことに、このことを理解されていない工務店(特にハウスメーカー)の多いのには驚かされます。

近代住宅は、換気といえばすぐに冷暖房の設備にたよろうとするからです。
いわんや、人工的な空気調整なくしては快適な生活が不可能とさえ思っている人たちも大勢いらっしゃいます。
あまりにも自然環境を拒否した住宅様式が多くなったことと、自然の恩恵を無視した生活習慣に馴らされてしまったことが原因です。
恐ろしいことに近代住宅では、いっさい外気を遮断して完全に密閉することによって、一年中を、20度前後の温度、60%程度の湿度を保つ家さえ造られるようになりました。

しかも、そんな住宅が健康住宅とさえ人々に思わせてしまおうとしています。人間は暑さ、寒さに耐えられるよう、汗をかいたり、鳥肌になったりの調節機能を持っているのです。
それが退化していったら、20度前後の常温でしか集中できないような体力になってしまったら、そんなひ弱な人間を作る家、そんな家の、「どこが健康住宅なんだ!」と声を大にして言いたくなってしまいます。

そもそも、こうした温度調整、湿度調整をするためには、エネルギーを必要とし、そのエネルギー費用が高騰すると、省エネルギーの方法として、密閉式住宅が市場に供給されるようになったわけです。騙されてはいけません、自然換気こそ、健康にとっての絶対的要件なのです。

衝動的、刹那的な発想で建てた住まいは、後日補修費がかかりすぎたり、飽きたりして、みずからの手で壊す例が少なくありません。
工務店側にすべて任せるのではなく、メリット、デメリットを細かく分析し、それ以上のものや方法がないか、それがどのような役割を果たすか、あるいは、将来はどうであろうかなど、綿密に考えた後、決断されるべきです。
住宅は高額な買い物ですし、自分たちの運命を左右する大事な環境ですから、後日苦労を味あわないで住む住宅づくりのプランを、慎重に計画することをおすすめします。