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木を使うことと木を使わないこととはどちらが地球にやさしいのか

「緑の有る星がありますか、水の有る星がありますか、空気の有る星がありますか、この100年間で地球上の原生林は、半分に減りました。森に守られた星が他にありますか。」

どこかで聞いたことのあるフレーズだと思われたでしょう。
いったい、きれいな水ときれいな空気はどこが作るのでしょうか、答えはそう<山>です。
常識過ぎて私達は日常ほとんど気にかけていない事柄ですが、本当は私達すべての人が生死に関わる重要なことなのです。

今、盛んに地球環境について叫ばれています。
温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨、砂漠化等々、数多くありますが、その多くが森林の取り扱いと深く関わっています。
これから先みんなで取り組み、考え、必ず解決しなければいけない問題にこの、<山>の問題がある、と言うことです。
一般には、いろいろな事柄が複雑に折り重なってほとんど知られていませんが、この<山>の現状(国内)を簡単に紹介して、その問題と私達に出来ることは何かということをこれから話したいと思います。

ここ十数年来、熱帯雨林地帯や人口急増途上国(中国、インド)を中心に、年間1100万~1500万ヘクタールもの森林の消滅が続いており(日本の森林2500万ヘクタールがわずか二年足らずで消滅する勢い)世界の森林率はわずか25%にまで低下しています。

そんな中でわが国では、さまざまな大規模開発をしているにもかかわらず、森林面積の減少はわずか数十万ヘクタールに止まり、依然として国土の66%が森林で覆われ、世界一級の森林国を自認しています。

それでも戦後の広大造林のため十数%だった人口林率は一挙に40%に増大させ、日本の森林を質的にも大変換させてきました。
こう言った状況の中で、わが国は8対2の割合いで外国産の木材(略して外材)を輸入しており、国内産の木材はほとんど使用されていないというのが現状です。

そのため、諸外国から「日本人は自分たちの山の木を切らず、外国の山を丸裸にしている」という批判を浴びせられています。

以上の話からすると、日本の山には大した問題はないみたいな気がしてきますが、実は深刻で難儀な大問題を私達は抱えているのです。

まず山の問題で一番の問題は、森林郡の手入れ不足の累積によって異常な過剰蓄積を抱え、未曾有な荒廃(森林面積の七~八割にも及んでいる)を招いていることです。
山の保全と維持は、何十年というサイクルで考えることなしには成り立たない世界のため、一定の年輪に達したものは放置しないで伐採し、また植林して管理(間伐、下刈り,枝打ちなど)していくことが山の健康を維持するための絶対の条件になります。

この荒廃による影響を簡単に述べると、
①保水能力の低下による、鉄砲水、山崩れの発生。
②木の密集による、山火事の発生。
③土壌の変質による、生態系や環境の変化。        などです。

中でも③による影響は、川を通じて海にも伝わり(海に栄養分が流れないため、海藻などの植物が死滅している)、あらゆる環境に問題を与えることになります。
すべての環境問題が,人間の各々勝手の経済効率優先による政策にあることは、誰もが解かっています。この山の問題も同様で,先のことを考えない日本人すべての責任だと思います。

今、山に従事している人達は,かっての40~50万人から7~8万人にまで減りました。
産業としての日本林業の存亡さえ危ぶまれています。
私達は,単に「木は切ってはいけない」、程度の知識で物を判断してはいけませんし、国は,昨今の森林や林業の切迫した実態を一般の国民,あるいはそれぞれの地域の人々の前に赤裸々に伝える必要があります。         

最後に、『木材は再生産できる資源であり,副産物として炭酸ガスを吸収し酸素を放出する、誠にすばらしい資源である』ということを再認識していただいて終わります。
次回は、私達に出来ることは何かを詳しく話したいと思います。